色々あったようで、イマイチこれといったトピックスを即座に思い浮かべられない2009年ですが、この年を締めくくるべく?例会がnononaさんで開かれました。まぁ例によってアップしたのが年明けたこのタイミングなのですが・・・その辺のところはいつもの事という事でご容赦くだされば・・・って。
さて今回は、会自体はなんとなく温和な雰囲気に包まれ、ワインのラインナップもいい塩梅でありましたが、その名だたるワイン達からそこはかとなく立ち昇ったテーマが、「テロワールは幻想か」です。結局「テロワール」ってなんじゃろ?という基本的な疑問なわけです。

ワイン名:Blanc de Blancs L'Avizoise Grand Cru Brut
造り手:Agrapart & Fils
ヴィンテージ:2002
飲んだ日:12/25
毎回ながら銘酒がずらりと揃うこの会をビシッと最初に引き締めてくれるのがシャンパーニュなんですが、今回のこのシャンパーニュも素晴らしかった。ブラン・ド・ブランということでしたが、複雑に折り重なる果実のコクと深みは、白ブドウのみというイメージとは短絡的にはつながらず・・・、奥深い味わいはいったい何に由来するものなのかと頭を抱えてしまいます。というのは、文章のあやで実際は美味しくグイグイ頂いていました。グランクリュ格の畑からということですので、テロワールに恵まれているというのも短絡的な美味しさの理由なのでしょうが、そもそもシャンパーニュのテロワールを体系的に理解できていないので、それを語る立場にありません。わかるのは、このワインが説得力を持った秀作であることと、この会のスタートに相応しい「ハレ」のワインであることでしょうか。

ワイン名:Bourgogne Hautes Cotes de Nuits Blanc
造り手:Nathalie Vigot
ヴィンテージ:2002
飲んだ日:12/25
初めての造り手なナタリー・ヴィゴは、ヴォーヌロマネの新世代生産者ということですが、今回の登場は、もはや収穫から7年もの月日を経た2002年ヴィンテージのオート・コート・ド・ニュイ・ブランです。実際のところは、熟成感と言うほどの経年変化は感じませんでしたが、決してヘタることなくブルゴーニュの白ワインらしい姿をとどめています。個人的には、香りにベジタブル系のニュアンスを感じ、味わいの柔らかさがややブレ気味だったのが、苦手な傾向でした。しかし、さすがは良年とされた2002年のブルゴーニュです。まだまだ「遊び」を残した味わいは、これからもしばらく楽しめそうな余裕を感じさせてくれます。

ワイン名:Fixin Blanc
造り手:Louis Jadot
ヴィンテージ:1999
飲んだ日:12/25
今回一番の白眉だったのはこのワインではないでしょうか。果実味の厚さ、ボディ、プロポーションのよさ、安定感などなどあらゆる点で安心して楽しめるバランスの良い味わいです。まずは造り手のルイ・ジャドの実力のほどを思い知らされたという感じです。こういった大手ネゴシアン系は、なんとなく個性に乏しいような先入観があり、そんなにたくさん飲む機会があったわけではありませんが、ルイ・ジャドのワインは、その乏しい経験の中でもいつも安定していて、コンスタントにヒットを飛ばしてくる印象があります。今回も、危なっかしさや天才的な閃きのようなドキドキする感じはないのですが、This is Bourgogone! と叫びたくなるような直球系の美味しさでした。1999年というヴィンテージの影響もあるでしょうし、10年という熟成の妙もあるでしょう。また、フィッサン村のテロワールをこの根拠に論じることにも興味があります。ただ、「フィッサンだから〜」とか「フィッサンだし〜」とか語る、語れることの意義は、目の前のボトルが持つ説得力以上のものでは無いような気がします。「いいじゃない、ルイ・ジャドのフィッサン・ブラン 99で。」飲み手が考える以上にワインはシンプルで、雄弁に語りかけてくれている気がします。

ワイン名:Montrachet
造り手:Pierre Andre
ヴィンテージ:2002
飲んだ日:12/25
何もつかない「モンラッシェ」、飲んだことあったっけかな〜。そんなことを思いながらワインに口をつけました。ooisotaroさんが、このワインのボトルオーナーさんに「どうしてピエール・アンドレなんですか?」と聞いていらっしゃいましたが、実は私も同じことを考えていました。ワインは、購入価格で2万円を超えると「分の悪い博打」となると考えているのですが、この博打にたま〜に当たると、他では代えることのできない全身を駆ける感動を得ることができます。しかし、多くは美味しいけど高い出費だったと釈然としない感情が残るものです。そのリスクを少しでも避けるために多くのワインラバーは、各種情報収集して有名生産者や評価の高い生産者のワインを虎視眈々と狙っているのです。そんな中でもモンラッシェは大きな賭けです。そこで、どうして大手ネゴシアンのピエール・アンドレなのか、当然ながら興味がわいてきます。実のところは非常に単純な理由であって納得したのですが、ともかくもあまり出会う頻度の多くないワインであることは間違いなく、非常に楽しんでご相伴に預かりました。
で、飲んでみたらどうだったのかと言うと、「むむっ、さすがモンラッシェ」という明らかにそれまで登場した白ワインとも、ひいては今年飲んだブルゴーニュの白ワインとも違う素養のよさのようなものを感じます。が、「明らかに今までと違う」と言う点に関しては明確に判別できたものの、じゃぁ一体何なの?と言われると答えに窮してしまいます。ワインに溶け込んでいる要素というか成分というか、その類のものは高級な雰囲気を出しているのですが、ワインとして圧倒的な存在感を持つには至っていないというか、オーラを感じないというか・・・と抽象的表現に終始してしまうある意味難解なワインでした。結局のところ、ラフォンやコシュ・デュリのワインを飲んでハマった時に感じる頭を金槌で殴られたような感覚は、テロワール由来のものでなく、造り手由来のものだということでしょうか?彼らが最高のテロワールからワインを造るとどうなるのか、造り手の哲学や技術はテロワールよりも上位に位置するものなのか、そもそもテロワールとは何なのか、どんどんと思考の闇へと沈んでいきます。

ワイン名:Le Cambon
造り手:Marcel Lapierre
ヴィンテージ:2007
飲んだ日:12/25
明らかにこのゴージャスな会に場違いなワインですが、これが考え抜いた末のマイボトルでした。実際飲んでみたら思った通りの味でしたので、個人的には納得。皆さんには満足していただけたでしょうか??チャーミングで柔らかく、スマートな味わい。素朴ですが品のよさもあり、決して田舎臭くないのが魅力です。

ワイン名:Cabernet Franc
造り手:奥野田葡萄酒
ヴィンテージ:1992
飲んだ日:12/25
今回最も個性的な1本だったんじゃないでしょうか。そして、非常に興味深い味わいでもありました。野生的な芳香にフランらしい青っぽいニュアンスが加わり、口に含むと旨みや酸味や野性味やらが渾然一体となって踊りだします。けっこうパンチの効いたワインなんしょうが、何と言っても1992年ヴィンテージです。しっかりと時の流れの中で削がれていて、芯の良さが率直に感じられます。正直、リリース直後は相当いかめしい味わいだったんじゃないかと想像できますが、17年にもわたる熟成で角が取れたというか、あるべき姿に落ち着いてきた気がします。すごいポテンシャルを持ったワインという訳では無いので、いわゆる偉大なワインとは趣が異なるのですが、ノスタルジックないぶし銀のワインでした。
ー 写真なし ー
ワイン名:?
造り手:Bois Lucas
ヴィンテージ:?
飲んだ日:12/25
新井順子女史のドメーヌであるボワルカのラベルなし、コルクもありあわせという謎のワイン。中身を聞いたんですが失念してしまいました。このボワルカのワインは、どのラインナップも丁寧に作られていて好きなスタイルです。ラベルなしだからこその先入観なしの状況で飲みますと、素朴で滋味深い味わいに「ほっ」とため息がでます。ボワルカの通常のラインよりかは緩い構成のワインなのですが、らしさは失っていません。複雑さはそれほどでもなく、気軽に飲むワインという趣です。ブルゴーニュで頭抱えて飲むよりもいいかもしれません。

ワイン名:Pommard 1er Cru2 Grand Clos des Epevnots
造り手:Domaine de Courcel
ヴィンテージ:2002
飲んだ日:12/25
皆さんのお声によって見事「本日の1本」に選ばれたのはまたしても峰不二子女史のワイン、いやはやまさに神がかり的ですらありますね。DRC他もろもろを投入しても勝てないとは、この会の男はふがいないのではと客観的に見ている方には思われるかもしれません。私たちのレギュラー席の確保も危うくなりそうです・・・ね?oosiotaroさん。
で、この「本日の1本」ですが、まずグラスに注ぐと黒く熟した果実の芳香があり、いわゆるコンフィ系です。味わいも香り同様に軸のしっかりとした骨太な雰囲気です。これがポマールらしさなのか?という問いもこうなると不毛なわけで、グイグイとエネルギー溢れる果実味に圧倒されます。輸入元の資料によるとこのドメーヌは、ドメーヌ・コンフュロン・コトティドのジャック氏の息子、イヴ氏をマネージャーとして招聘して以来、品質が向上・・・とあり、この骨太な果実味もドメーヌ・コンフュロン・コトティド由来と考えれば納得できます。個人的にはもう少し神経質なワインが好きなのですが、ばっちりストライクゾーンを外さない峰不二子女史の剛速球はさすがです。

ワイン名:Cabernet Sauvignion Reserve
造り手:Robert Mondavi
ヴィンテージ:1994
飲んだ日:12/25
ロバートモンダビのカベルネ・リゼルヴァという意外なセレクトは、いつもこの会を幹事的に取り仕切って下さるooisotaroさん。熟成15年というカリフォルニアワインを口にするのはおそらく初めてですが、このワインも先の奥野田葡萄酒と同様にいい感じに削げており、興味深いです。ボディや骨格なんかは、カリフォルニアのカベルネのイメージと合致しますが、「どうだこの野郎!」という特攻野郎Aチームばりのパワーは影を潜め、そこはかとなく儚さが感じられるようになっています。奥行きと言うか、味わい深さというか、そんな余裕が垣間見られるようになっているこのワイン、非常に興味深い2009年末の姿でした。

ワイン名:Chambolle Musigny
造り手:Georges Roumier
ヴィンテージ:2000
飲んだ日:12/25
磯部さんをして、「面白みがない!」と断じられたルーミエ様。いやいや、なかなか高級なワインで、おいそれとは庶民の口には入らないんですよ・・・。しかし、今日のルーミエは確かに大人しい。閉じるというよりもどこか単調な印象で、むしろ果実味が強くすら感じられました。まぁお休みモードではあるのでしょうが・・・ワインって難しいです。

ワイン名:Clos Vougeot
造り手:Cathiard Molinier
ヴィンテージ:1979
飲んだ日:12/25
ヴォーヌロマネのシルヴァン・カティアールと言えば古典とモダンの両スタイルのいいとこどりのような硬派な味わいが特徴の生産者ですが、その先代の頃のワインは実に美味しかったという話もあって、どこかで飲めればなぁ〜と熱望しておりました。ということで、しっかり熟した1979年のグランクリュ、クロヴージョの登場です。枯れたと言うにはまだまだみずみずしい果実感があり、円熟した旨みと調和してブルゴーニュの古酒の良さを体現しています。イメージが漠然としていてテロワールを語るのが難しいのがクロヴージョという畑なのですが、そんな事がどうでもよく感じられるほど深遠なピノノワールの魅力を楽しませてくれます。もう30年も経ってしまっているという事実に感慨深いものを感じつつも、全てのボトルがこのような成長を遂げているとは限らないんだろうなぁと思うにつけ「一期一会」というか目の前の幸せを堪能することの大切さを感じます。いいんじゃないですか〜カティアール・モルニエ!また出会いたい1本です。

ワイン名:Grands Echezeaux
造り手:DRC
ヴィンテージ:1993
飲んだ日:12/25
あれあれ天下のDRC!グランエシェゾーは個人的にも初めて(だったっけ?)の体験です。1993年ということは、もう15年以上前になるんですが感覚的にはまだまだ最近の気がしてしまうのはどういう事でしょうか?さて、肝心の味わいですが・・・ひと言「若々しい!」です。黒っぽい果実や花の香りがぎゅっとつまった凝縮感を感じさせる雰囲気に高級感漂わせる樽のニュアンス。味わいも複雑で重厚な趣ですが、野太い印象で圧倒的なまでの説得力を持つに至りません。これはもうワインの質というよりかは飲むタイミングの問題でしょう。いやはや、とにかくご馳走様でございました。
はぁはぁ・・・筆をあげてから1ヶ月あまり、やっと書けました。季節外れでスイマセン。