
先般の地震でからくも被害をまぬがれたワインたち。
その中でも、はっきり言って分不相応な(自宅ではおいそれとは開けれない)ワインを手に、これはもうなんとか飲んでしまったほうがいいのではないか?とある種の執着がゴトリと落ちました。
一方で、テレビから目に飛び込んでくるのは壮絶な現実。
私にできることは何だろう・・・とない頭を抱えます。
とにもかくにも、支援と言えばまずお金。と思い立ったものの、凡人一人のできる限りはあまりにも微力です。そこで、私の唯一の可処分資産であるワインを喜んでいただける人に飲んでもらいつつ、会費を頂いて義援金にしようと、いつものnononaさんでの定例ワイン会メンバーの方々にご協力を要請し、無事開催されることになりました。
皆さん!本当にありがとうございます!!
ということで、私が持参した白ワイン3本に加えていつものように皆さんが思い思いのワインをお持ち頂いた結果、なんだかすごいラインナップのワイン会になりました。
ワイン名:Champage Carte d'Or Brut Millesime
造り手:Drappier
ヴィンテージ:1990
輸入元:テラヴェール
飲んだ日:5月14日
しょっぱなから凄い泡。古いミレジムのシャンパーニュにしてはしっかりとした泡立ちがあるも、風味は熟成感たっぷり。退廃的でアンニュイなのに気品があるという対照的な魅力が混在したスタイル。シャンパーニュって上流階級の飲み物なんだなーとなぜか!?しみじみ感じた1本。個人的にはすごくフランス的な雰囲気のプンプンするワインで、きっちりした淑女が夜サロンに入り浸ってアーティストたちとタバコを吸うようなベタなフランス映画の情景がしっくりきます。
ワイン名:Bourgogone Aligote Sous Chatelet
造り手:d'Auvenay
ヴィンテージ:2001
輸入元:平野弥商店
飲んだ日:5月14日
家にあった分不相応ワインその1。おそらくアリゴテと聞いて喜ぶブルゴーニュファンはいないのでしょうが、ドーヴネだけはアリゴテ界では別格の存在です。はっきりいって酸をまずイメージするアリゴテとは言い当てる事は不可能なほどワインに集中力があり、気品があり、清涼感があります。コテコテのブルゴーニュ白の作り手とは真逆の、スルスルと流れ込んでいく化粧っけのない味わいなんですが、飲み込んだあとにスーッと立ち上ってくるような
優雅な存在感には圧倒されます。アコーステックな楽器のような派手さのない素直な美しさにマダム・ルロワの美意識のようなものを感じます。
ワイン名:Meursault Les Narvaux
造り手:d'Auvenay
ヴィンテージ:2000
輸入元:平野弥商店
飲んだ日:5月14日
家にあった分不相応ワインその2。さすがにアリゴテとはまたランクの違うオーラ。ただ根底には共通した哲学が流れています。ムルソーといえども押し付けがましさは微塵もなく、むしろ大人しめな風味。それでも雰囲気というか説得力というかはグラスからあふれんばかりに感じます。欠点を指摘するのが難しいと思わせるほどの調和のとれた風味ですが、むしろ完璧すぎて鼻につく、というのは完全に私個人のひがみです。
ワイン名:Echezeaux
造り手:Emmanuel Rouget
ヴィンテージ:2000
飲んだ日:5月14日
いやはやまさかこんなワインが登場してくるとは・・・
初体験のルジェのグランクリュ、色調はほんのり薄め、柔らかくて甘い香りがグラスから立ち上ります。最初はやや渋みを感じて主張も控えめなんですが、これはヴィンテージや格を考えれば当然。時間が徐々にその本領を見せてくれます。じわりじわりと丸みと甘みを増して、液体の口当たりがなめらかになっていくあたりにとあるヴォーヌロマネ系のワインだけが備える色気を感じます。
ワイン名:Vouvray Les Grenouilles
造り手:Lemaire Fournier
ヴィンテージ:2002
輸入元:ラシーヌ
飲んだ日:5月14日
少しの甘み、柔らかい泡、飲み干した時の清涼感、どれをとってもさすがの一言。ニコラ・ルナールの2002はやっぱり特別です。オーラとか気高さとかその種の権威的な感じがあるわでなく、ワインの純粋さで勝負してる感じが本当に好きですね。ニコラ・ルナールにかわるワイン、まだ見つけられてないな・・・。
ワイン名:Meursault Les Vireuils
造り手:J F Coche Dury
ヴィンテージ:2002
輸入元:平野弥商店
飲んだ日:5月14日
家にあった分不相応ワインその3。どこぞのネゴシアンの専売だかなんだかでラベルのデザインがオリジナルのものとことなるドメーヌセレクションなるコシュ・デュリ。ブルゴーニュ白ワインの最高峰という評価は伊達じゃないなと思わせるようなガツンと直球勝負なムルソー。香りにも良ければ味もいい、存在感やポテンシャルも十分に感じるし、品の良さもしっかりとある。ドーヴネの大人しい中にも自信たっぷりな感じとはまた趣が異なって、とことん器用な職人技みたいな、指先で1マイクロメートルの厚みをやすりがけできますみたいな、ともかく精密な味わいです。いったい世のムルソーと何が違うのやら・・・。
ワイン名:Chambertin
造り手:Jean & Jean Louis Trapet
ヴィンテージ:2004
飲んだ日:5月14日
まだまだ怒濤のグランクリュ攻めが続きます。何にもつかないシャンベルタンとはこれも大物の予感。開けたてはやや木質的な風味があって固め。まぁシャンベルタンですから2004年で枯れてたら困りもんですからね。で、少し時間をかけてみるとだんだん一体感がでてきてワインらしくなってきますが基本はドライ路線で愛想のいいワインではありません。ルジェが刻々と艶っぽくなるのと対照的に、とっても男性的なお味。シャンベルタンって言葉がなんか男っぽいですもんね。
ワイン名:Echezeaux
造り手:Rene Bouvier
ヴィンテージ:2002
飲んだ日:5月14日
これまた良年のグランクリュワインの登場。ここまでくると色々麻痺してきます。このワインもトラペ同様にスタートは渋みのある固めの味わい。樽的なというか木的な風味がまず感じられます。しばらくしてだんだんとまとまってくるのもトラペと同じですが、気持ちこちらのワインのほうが愛想がいい気がします。ワインのこの愛想の部分って大人数で飲むときには重要で、グラスの数やら時間的制約やらで時間をかける必要のあるワインは扱いが難しいです。この愛想の良さが小気味いい酸と相まってザ・ブルゴーニュという印象。
ワイン名:Chambolle Musigny 1er Cru Les Santiers
造り手:Robert Groffier
ヴィンテージ:2007
飲んだ日:5月14日
どどんと並ぶグランクリュの中でもひけをとらない存在感を示したグロフィエ。果実の甘みがあって外向的な面持ちもあって色気もあってと非常に上手な作りのワインだなぁというのが率直な感想。一歩間違うと厚化粧な印象になりかねないのをいいところで寸止めして可愛らしさにしている。まだまだ若いけど躊躇なく飲める美味しい味わいで、作り手の妙って感じです。
ワイン名:VDT Cuvee LISA
造り手:Bois Lucas
ヴィンテージ:2003
飲んだ日:5月14日
夜も更けきって、締めワイン的になし崩し的に抜栓された(ボトルオーナーにとっては抜栓させられた)このワイン。これはやっぱり癒し系です。このころのボワ・ルカのワインには、熱さのようなものを感じるのですが、そのひとつの典型例がこのワインであり、同じ年のソーヴィニヨンブランだったように思います。本当に飲んで「想い」を感じられるある意味感情的なワインで、しかもテンションが高い。このテンションの高さを感じるワインに出会うと頭で考えるでなく心から美味しいと思います。
とまぁ、結果的には怒濤のラインナップのワイン会になってしまいましたが、いい意味でのリラックスした感じが功を奏したのか、どのワインも神経質なところなく美味しく楽しめるものばかりでした。加えて、飲むのが好き、食べるのが好き、話すのが好きな皆さんとの時間は、すごく充実したひと時でした。あらためてありがとうございました!
「ワインは心を癒す飲み物である。」この時間の良いエネルギーを糧に色々な課題に前向きに取り組んでいきたい、ともう一度心に刻んで・・・。
※この日も「日常の極上」の食卓をご提供してくださったnononaさんにも大感謝です!